目視検査のコツと最新技術(AI外観検査)の活用を解説!
外観検査において目視検査は定番の手法ですが、属人化による人的ミスや品質のバラつきが生じやすいという課題もあります。
そこで、本記事では目視検査の精度を向上させるためのコツを紹介するとともに、近年注目されているAIや自動化技術の活用方法も詳しく解説します。
外観検査の最適解を知りたい、あるいは最新技術の導入を検討している企業様はぜひ参考にしてください。
目視検査の主な種類と特徴
出荷する製品の品質維持のために欠かせない外観検査は、従来から目視によって行われるケースが少なくありません。一口に目視検査といってもさまざまな種類があり、製造現場や製品の特性に応じて使い分けられています。
1. インライン検査
インライン検査とは、製造ラインの中で行われるリアルタイムでの目視検査です。生産工程の途中に検査のプロセスを組み込み、製品が製造ライン上に流れている間に目視検査を行います。
インライン検査の特徴は目視検査の中でもスピーディーに検査することができ、不良品を発見した際にはラインから即座に取り除ける点です。
一方、動いているラインの中で検査を行う必要があるため、検査員には熟練の目と技術が求められるほか、不良品の見逃しも発生しやすくなります。
2. オフライン検査
オフライン検査とは、製造ラインでは検査を行わず、製品がラインを出た後に専用の検査エリアで行われる目視検査です。
一般的に製品の一部(特定のパーツ)やロットごとに検査が行われるケースが多く、製品を静止した状態で隅々まで確認できるため見逃しのリスクを低減できます。
高精度なチェックが可能である一方、検査に時間がかかりやすいというデメリットもあります。
3. 全数検査
全数検査とは、製造されたすべての製品に対して行われる検査のことです。特に高い品質が求められる高価な製品や、医薬品などの製造過程で多く用いられています。
全ての製品をくまなくチェックすることにより見逃しを防ぎ、品質の維持・向上が期待できます。
しかし、その一方で膨大な量を検査しなければならず、目視検査の場合には多くの人手と時間を要します。
4. 抜き取り検査
抜き取り検査とは、製造された製品の中からサンプルをランダムに抜き出して検査する方法です。生産量が多く、全数検査を行うことが現実的でない場合などに用いられます。
抜き取り検査は全数検査に比べて検査対象数が少ないため、コストと時間を節約できる一方、見逃しのリスクがある点に留意しなければなりません。
目視検査の精度を上げるコツ・ポイント
目視検査を正確かつスピーディーに行うには、いくつか注意したいポイントがあります。検査のコツを5つご紹介します。
1. 作業環境の最適化
まずは検査で使用するツールや作業環境を整備しましょう。
照明の調整
照明が適切でないと微細な不良を見逃す可能性があるため、明るさや角度を調整し、一定の光量を保つことを心がけましょう。検査スペースには強い直射光が当たらないよう、均等な照明を心がけることで視認性が向上し、安定的な検査品質を維持できます。
検査場所の整備
作業環境が整っていないと検査員の集中力が削がれ、検査精度が低下します。整理整頓された環境を作り、検査員が作業しやすいよう作業台の高さや角度を適切に調整しておきましょう。
2. 集中力と疲労の管理
長時間にわたって検査を行っていると、検査員の疲労が蓄積し集中力の低下を招くため、検査品質を維持できるよう労働環境も整備しておく必要があります。
休憩を取る
同じ作業を続けていると、集中力が低下しミスや見逃しが増えてしまいます。定期的に検査員の休憩時間を確保し、作業効率と精度を維持することを心がけましょう。
作業ペースの調整
過度なスピード重視の要求は検査員に焦りを生じさせ、ミスを引き起こす原因となります。検査スピードは適切に設定し、検査員が集中して検査を行えるようにしましょう。
3. チェックリストと基準の明確化
検査の品質を一定に保つためには、ルールや基準を明確化しておくことも重要なポイントです。
明確な基準の設定
どのようなものが不良品に該当するのか、判定基準をあらかじめ明確にしておくことで、判断のブレを防げます。具体的な基準や見本などを作成し、検査員がそれに従ってチェックすることで検査の精度が向上します。
過去の不良データの活用
一口に不良品といってもさまざまなパターンがあるため、基準が定められていたとしても判断に迷うこともあるでしょう。そこで、あらかじめ不良品のパターンをデータベース化し、検査員が参照できるようにしておけば過去の事例から判断し、効率的に検査を行えます。
4. スキルアップと教育
目視検査の精度を高めるためには、検査員のスキルアップのための教育も不可欠です。
スキル向上と実践トレーニング
新入社員や経験の浅い検査員は、熟練者とペアを組んでOJTを進めることで、スキルの向上とノウハウの共有が進みます。熟練者がどのようなポイントに注意して検査を行っているのか実践的なコツを短期間で修得できるほか、初心者にありがちなミスや見逃しを防ぐことにもつながります。
5. 作業の効率化
一度、作業フローを決めたらそれで終わりではなく、定期的に作業フローを見直し、作業の効率化に取り組むことも重要です。
作業フローの見直し
現在の検査工程の中で、ムダや不足がないかを見直すことで、作業効率の向上や見逃しリスクの減少が期待できます。作業の順番や検査対象の配置などを工夫し、検査しやすい環境を整えることで、より正確な目視検査を実現できるでしょう。
目視検査の課題と最新技術(AI・自動化)の活用
上記で紹介したポイントに注意することで目視検査のスピードや精度は高まる一方、より生産性や品質管理精度の向上を求める場合、目視検査には限界があるのも事実です。そこで、現在注目されているのがAIや自動化技術を活用した外観検査です。
目視検査の限界
目視検査は検査員さえ確保できればすぐにでも始められるため、もっとも手軽な検査方法といえます。
従来から、多くの製造現場で目視検査が行われてきましたが、検査員一人が対応できる数には限界があり、製造量が増えるたびに検査員も増員しなければなりません。
また、熟練の検査員と経験の浅い検査員とではスキルに差があり、見逃しや判定ミス、判定のバラつきも生じやすくなります。
目視検査の品質向上に向けた今後注目すべきトレンド
目視検査におけるさまざまな課題を解決するために、近年多くの製造現場ではAIや自動化技術の活用が進められています。
1. AIによる画像解析技術
AIを活用した画像解析技術とは、AIに対して大量の画像データ(不良が認められた製品画像)を取り込み、さまざまな不良品のパターンを学習させることにより高精度で欠陥を検出する仕組みです。一貫性のある判断ができるのが特徴です。
2. 自動化技術の導入
自動化技術とはその名の通り、高速かつ高精度な検査を自動的に行うシステム・設備のことです。検査結果のフィードバックおよびAIとの連携により検査精度を飛躍的に向上させることができ、検査員の人手不足を根本から解決する手段にもなります。
3. IoTと連携したスマート検査システム
不良品の発生は、製造ラインの設備や機械などの不具合が原因というケースも少なくありません。そこで、設備や機械の状態を把握するためのIoTセンサーを実装し、万が一不具合が生じた際には瞬時に把握できるようにします。これにより、不良品の発生リスクの低下につながります。
SAIASの外観検査システム構築サービスは現場の状況に合わせ柔軟な運用を実現
外観検査の自動化は、特定の機器やシステム、技術を導入すれば即座に解決できるというものではなく、まずはそれぞれの製造現場の状況や課題を把握しなければなりません。
SAIASではお客様の現場の状況を詳しく調査した上で、最適なプランを提案する外観検査システム構築サービスを行っています。新たに検査機器やシステムを導入することはもちろん、既存のシステムがある場合にはそれらを活かしたプランも検討できます。
環境に適応した柔軟な方法を検討しつつ、目視検査と自動化のバランスを考慮した最適なソリューションも実現可能です。初めて外観検査の自動化を導入する企業様はもちろん、過去に自動化に取り組み思うような成果が出なかった企業様も、まずはお気軽にSAIASまでご相談ください。
外観検査にはAI・自動化のソリューションを活用してみよう
製造現場の自動化が進んだ昨今であっても目視検査は不可欠です。しかし、目視検査には限界があり、ヒューマンエラーによるミスやバラつきをなくすことはできません。また、作業員の人手不足という課題もあります。
そこで、近年注目されているAIや自動化技術を導入することで、より精度の高い外観検査を実現できる可能性があります。自社に最適化された外観検査を実現したいとお考えの企業様は、ぜひSAIASにご相談ください。